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太陽光発電のコネクタ不具合が引き起こす問題と対策

  • 執筆者の写真: 優 中野
    優 中野
  • 3月15日
  • 読了時間: 4分

更新日:10月20日

太陽光発電システムにおいて、コネクタの不具合は意外と見落とされがちですが、発電量の低下や最悪の場合、火災事故につながることもあります。本記事では、コネクタの不具合の原因とその影響、そして安全に運用するための対策について詳しく解説します。



1. コネクタ不具合が発生する原因


太陽光発電システムのコネクタは、パネル同士やパネルとパワーコンディショナーを接続する重要な部品です。不具合が発生する主な原因を以下にまとめました。


(1) 接続不良(ロック不完全・圧着不良)


コネクタをしっかり接続していないと、電気抵抗が増加し、接触不良が発生します。これにより、発電量の低下や発熱の原因になります。特に、以下のようなケースでは注意が必要です。

• コネクタ同士がしっかり「カチッ」とはまっていない

• 圧着端子が緩んでいる、または正しく圧着されていない

• ケーブルがしっかり奥まで差し込まれていない


特に、DIYで施工を行った場合や、経験の浅い業者による施工では、接続不良が発生しやすいため、施工後の確認が重要です。


(2) 異なるメーカーのコネクタを混用(規格違い)


太陽光発電システムのコネクタにはメーカーごとに若干の規格の違いがあり、異なるメーカーのコネクタ同士を接続すると、以下のような問題が発生します。

• 接触部分のズレ → 接続が甘くなり、接触不良の原因になる

• 防水性能の低下 → 雨水や湿気が侵入し、腐食・ショートのリスクが高まる

• 機械的強度の低下 → 接続が外れやすくなり、断線のリスクが高まる


実際に、異なるメーカーのコネクタを混用した結果、発熱・焼損が発生し、発火事故につながった事例も報告されています。施工時には、同一メーカー・同一型番のコネクタを使用することが必須です。


(3) 劣化・腐食・水分侵入


屋外に設置される太陽光発電システムでは、コネクタが長期間にわたり風雨や紫外線にさらされるため、経年劣化が進みやすくなります。特に、以下のような環境では劣化が早まります。

• 高温多湿の地域(ケーブル内に結露が発生しやすい)

• 塩害地域(海沿いのエリアでは塩分が腐食を促進)

• 砂埃が多い環境(接点部の汚れが電気抵抗を増大させる)


コネクタの防水性能が低下すると、内部に水が侵入し、接触部分が腐食して導通不良やショートの原因となります。


(4) 過電流や高温による焼損


コネクタの定格電流を超えた負荷がかかると、過熱して焼損する可能性があります。特に以下のケースでは要注意です。

• 配線設計ミス(太陽光パネルの直列・並列接続の誤り)

• 影の影響(一部のパネルに影がかかることで局所的に過電流が発生)

• コネクタの緩み(接触抵抗の増加により局所的に発熱)


焼損が進むと、コネクタの樹脂部分が溶けてショートし、最悪の場合、火災につながることがあります。




2. コネクタ不具合による影響


コネクタの不具合は、以下のような影響を引き起こします。

• 発電効率の低下(接触不良により電圧降下が発生)

• システムの不安定化(断線・ショートによりPCSの誤動作を誘発)

• メンテナンスコストの増加(定期点検時に修理や交換が必要)

• 火災リスクの増加(過熱・ショートによる発火)


特に、発電所規模のシステムでは、小さなコネクタ不良が大きな発電ロスにつながるため、早期発見・対策が重要です。




3. コネクタ不具合を防ぐための対策


コネクタの不具合を防ぐために、以下の対策を徹底しましょう。


(1) 正しい規格のコネクタを使用する

• メーカー指定のコネクタを使用(異なるメーカーの混用はNG)

• コネクタの定格電流・電圧を確認(過負荷にならないように)


(2) 確実な接続を行う

• 施工時に「カチッ」と確実にロックされているか確認

• 専用工具を使用して適切に圧着する(手締めはNG)

• ケーブルの被覆が適切に剥がされているか確認


(3) 定期点検を実施する

• 熱画像カメラで異常発熱がないか確認

• コネクタ部分の緩み・変色・腐食をチェック

• 配線経路を確認し、負荷バランスを最適化


(4) 施工品質を重視する

• 信頼できる施工業者を選ぶ(安価な業者は要注意)

• 施工後に発電量や接続状態を必ずテストする




4. まとめ


太陽光発電システムのコネクタは小さな部品ですが、発電効率や安全性に大きく関わる重要な要素です。不具合を防ぐためには、正しい規格のコネクタを使用し、確実な接続を行い、定期点検を実施することが不可欠です。


施工時のちょっとしたミスが、発電量の低下や火災リスクにつながる可能性があるため、十分な注意を払うことが重要です。


中野太陽光点検社は、お客様の発電設備が持つ本来の価値と収益性を最大限に引き出すため、安全性と効率性に徹底的にこだわり、信頼性の高い技術で迅速かつ丁寧な点検を実施いたします。電気点検、ドローンによる高精度な診断、さらには草刈り作業まで、幅広いニーズに対応する総合的なメンテナンスを通じて、専門スタッフが潜在的な問題を早期に発見し、お客様の設備をトラブルから守ります。

まずは、お気軽にお問い合わせください。


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