雷被害から太陽光設備を守る!SPD(避雷器)の役割とよくある不具合
- 優 中野
- 7月7日
- 読了時間: 3分
1. なぜ雷が太陽光設備にとって危険なのか?
太陽光発電所は屋外に設置されており、広範囲にわたって金属の機器(パネル・架台・PCSなど)が配置されています。
このため、落雷やその近くで発生した雷サージ(過電圧)の影響を非常に受けやすい構造です。
特に夏場(7〜9月)には雷の発生件数が急増します。雷サージが直撃しなくても、数百メートル離れた落雷で、PCSが破損した事例も少なくありません。
2. SPD(サージプロテクタ)とは?避雷器との違い
SPD(Surge Protective Device)は、雷サージなどの異常な電圧をアースへ逃がす装置です。「避雷器」と呼ばれることもありますが、厳密には次のような違いがあります。
用語 | 意味 | 特徴 |
SPD | サージ保護装置 | 雷サージや開閉サージをアースに逃がす |
避雷器 | 高電圧から設備を守る装置の総称 | 高圧送電線や変電所向けが主流 |
発電所では、低圧〜高圧回路のDC側・AC側・通信回線側にSPDを設置することが推奨されています。
3. SPDが劣化・故障すると起きるトラブル
SPDは消耗品であり、落雷が多い地域では数年で劣化することもあります。劣化したSPDは十分な保護性能を発揮できず、次のような被害を招きます。
主な不具合・兆候
PCSが突然停止し、復旧しない(基板焼損など)
発電量が一部大きく低下(ストリング単位での異常)
監視装置との通信が途絶える(LAN線にサージ侵入)
SPDインジケータが「異常」(赤表示・点灯消失)
SPDが故障したまま放置すると、次の落雷時にPCSや通信装置が破損して大きな修繕コストにつながります。
4. 発電所オーナーが取るべき対策
・定期点検の実施(年1回以上推奨)
SPDには状態を示すインジケータが付いており、目視で「正常(緑)/異常(赤)」を確認できます。点検では以下を確認しましょう。
各SPDのインジケータ状態(DC側・AC側・通信側)
アース抵抗値の測定(10Ω以下が目安)
ケーブルの腐食・断線・接触不良の有無
点検記録を残すことで、万が一の保険対応やトラブル分析にも役立ちます。
・サージカウンタの設置(落雷履歴の可視化)
SPDの横にサージカウンタを設置することで、「どれだけ雷サージが通過したか」を記録できます。これにより、交換時期の判断材料となり、雷が原因かどうかのトラブル判別にも役立ちます。
・高雷地域では通信SPDも必須
モニタリング用通信線(LANケーブル・RS485等)にも雷サージは侵入します。通信装置の基板破損 → 監視不能 → 異常の見逃し → 売電ロスという悪循環を防ぐためにも、通信SPDの追加は有効です。
5. まとめ:SPDは“投資を守る保険”
太陽光発電所では、PCSや監視装置といった高額機器を雷から守ることが非常に重要です。
定期的な点検でSPDの状態を確認
劣化やインジケータ異常時は早めの交換
通信機器側の保護も忘れずに
SPDの設置と維持管理は、長期安定稼働のための必須対策です。
コメント