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太陽光発電のPID現象とは?原因・影響・対策を徹底解説!

  • 執筆者の写真: 優 中野
    優 中野
  • 2月20日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月15日

太陽光発電システムを導入してしばらく経つと、発電量が予想以上に低下している…

そんなトラブルの原因の一つとして考えられるのが「PID(電位誘導劣化)」です。


PIDは、モジュールが高電圧にさらされることで発生する劣化現象で、発電量が大幅に減少する原因になります。本記事では、PIDの仕組み・原因・影響・対策について詳しく解説します!


1. PID(電位誘導劣化)とは?


PID(Potential Induced Degradation:電位誘導劣化)とは、太陽光発電モジュールが高電圧の影響を受けることで、性能が低下する現象です。


通常、太陽光発電システムでは、モジュールを直列に接続することで数百ボルト〜1,500Vの高電圧が発生します。このとき、モジュール内部の電位差により電子が移動し、セルの特性が劣化することがあります。これがPIDです。


PIDが発生するとどうなる?


PIDが発生すると、以下のような影響が出ます。

発電量が低下する(最大50%以上の低下も)

開放電圧(Voc)が低下する

I-Vカーブ(電流-電圧特性)が変化する

ホットスポットが発生する


放置すると、システム全体の発電効率が悪化し、経済的損失につながるため、早めの対策が必要です。


2. PIDが発生する原因


PIDが発生する主な原因は、次の4つです。


高電圧環境


太陽光発電システムでは、高電圧(DC 600V〜1,500V)でモジュールが運用されます。特に直列接続が多いシステムでは、負極側のモジュールにPIDが発生しやすくなります。


モジュールの封止材やガラスの特性


モジュールの封止材(EVA)やガラスの絶縁性能が低いと、リーク電流が発生しやすくなり、PIDのリスクが高まります。特に、ナトリウムイオン(Na+)が含まれるガラスは、電位差の影響でセルにダメージを与えることがあります。


温度・湿度が高い環境


PIDは、高温・高湿環境で発生しやすくなります。特に、湿気の多い地域や、夏場の高温環境では、PIDの進行が早まる傾向があります。


接地方法(アースの影響)


太陽光発電システムの接地方法によっても、PIDのリスクが変わります。

特に、負極を接地するシステムでは、負電位を持つモジュールでPIDが発生しやすくなります。


3. PIDの診断方法


PIDは、以下の方法で診断できます。


① 開放電圧(Voc)の測定

• PIDが進行すると、モジュールの開放電圧(Voc)が低下する。

• 例えば、正常時に40Vのモジュールが、PIDの影響で30V以下に低下することがある。


② I-Vカーブ測定

• PIDが発生すると、I-Vカーブの最大出力点(Pmpp)が大幅に低下する。

• 直列接続の一部に異常がある場合、カーブの形が通常と異なる。


③ サーモグラフィー検査

• PIDが進行すると、モジュールの表面温度が不均一になり、ホットスポットが発生する。

• サーモグラフィーカメラを使って温度分布を確認することで、PIDの兆候を発見できる。


4. PIDの対策方法


PIDの発生を防ぐために、以下の対策を検討しましょう。


PID耐性のあるモジュールを使用する

PIDフリー(PID耐性)と認定されたモジュールを使用すると、劣化リスクを軽減できる。

耐PIDガラスや、PID耐性のある封止材を使用した製品を選ぶ。


負極接地の見直し

負極接地を見直し、PIDが発生しにくい設計にする。

• 特に、負極側にPIDが集中しやすいため、システム設計時に注意する。


PID回復装置(リカバリーデバイス)の導入

夜間に逆電圧をかけることで、PIDを回復させる装置がある。

• 既存のシステムに後付けできるため、PIDが発生した場合の有効な対策。


温度・湿度管理

• 高温・高湿環境ではPIDが進行しやすいため、適切な換気や冷却を行う。


5. まとめ


PID(電位誘導劣化)は、高電圧によるリーク電流が原因で発生する太陽光モジュールの劣化です。


発生すると発電量が大幅に低下し、経済的損失につながる

開放電圧(Voc)の低下やI-Vカーブの変化で診断できる

PID耐性モジュールの使用、接地方法の見直し、リカバリーデバイスの導入で対策可能


太陽光発電システムの長寿命化のために、定期的な点検と早期の対策を実施しましょう!

太陽光発電設備について不安がある方は、お気軽にお問い合わせください!最適な点検・メンテナンス方法をご提案いたします。

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