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太陽光発電のクラスタ故障と開放電圧・インピーダンスの関係

  • 執筆者の写真: 優 中野
    優 中野
  • 2月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:4月15日

1. クラスタ故障とは?


太陽光発電システムでは、太陽電池モジュールが直列・並列に接続されており、特定のセルやモジュールに異常が発生すると、発電効率が低下することがあります。特に、クラスタ故障とは、モジュール内部で複数のセルが接続されたクラスタ(小さな単位)が正常に機能しなくなる現象を指します。


クラスタ故障の主な原因

• セルのホットスポット

• バイパスダイオードの破損

• 断線や接続不良

• PID(Potential Induced Degradation:電位誘導劣化)


クラスタ故障が発生すると、そのモジュール全体の出力が低下し、システム全体の発電量が減少します。


詳しくは他ブログの『太陽光発電の発電量低下を引き起こす「クラスタ故障パネル」とは?』をご参照ください。


2. 開放電圧(Voc)とクラスタ故障の関係


開放電圧(Voc, Open Circuit Voltage)は、太陽光モジュールの端子間に負荷を接続しない状態で測定される電圧です。

クラスタ故障が発生すると、以下のような変化が起こる可能性があります。


バイパスダイオードが導通している場合

→ 故障したクラスタがバイパスされるため、モジュールの開放電圧が健全時より低下する。


セルの断線や接続不良がある場合

→ 影響を受けるセルが働かなくなるため、開放電圧が異常に低下する可能性がある。


PID劣化による影響

→ セルの特性が変化し、開放電圧が徐々に低下する。


3. インピーダンス測定での故障診断


インピーダンス(電気抵抗成分)を測定することで、クラスタ故障の有無を判断できます。

インピーダンス測定には以下の手法が使われます。

電流-電圧特性(I-Vカーブ)測定

電気インピーダンス分光法(EIS, Electrochemical Impedance Spectroscopy)


クラスタ故障時のインピーダンスの特徴

• 正常なモジュールと比べて、インピーダンスが上昇する

• 断線があると、高周波成分のインピーダンスが急激に変化する


4. まとめ

• クラスタ故障は、ホットスポットやバイパスダイオード破損などが原因で発生

• 開放電圧(Voc)が低下することで故障の兆候を確認可能

• インピーダンス測定を活用すると、より詳細な診断が可能


クラスタ故障の早期発見・対応は、太陽光発電システムの長期安定稼働に不可欠です。定期的な点検と測定を行い、異常があれば早めに対策を講じましょう!

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