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太陽光発電の不具合:バイパスダイオード故障の症状と対策

  • 執筆者の写真: 優 中野
    優 中野
  • 3月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:4月15日

太陽光発電システムの発電量が急に落ちたり、パネルの一部が異常に熱くなったりすることはありませんか? その原因のひとつとして、「バイパスダイオードの故障」が考えられます。本記事では、バイパスダイオードの役割や故障の症状、対応策について詳しく解説します。



1. バイパスダイオードとは?

太陽光パネルは複数のセル(太陽電池)で構成されており、セルが1つでも影になったり故障すると、全体の発電量が低下する可能性があります。この問題を防ぐために、バイパスダイオードが搭載されています。

バイパスダイオードの役割は、影や故障したセルを通る電流を迂回させ、発電ロスを最小限に抑えるための重要な部品です。



2. バイパスダイオードの故障症状

(1) 主な故障パターン

バイパスダイオードの故障には、大きく分けて2種類あります。

1. オープン故障(開回路)

→ ダイオードが完全に断線し、機能しなくなる。

→ 影がかかったセルが発電の妨げになり、パネル全体の電圧が大幅に低下する。

2. ショート故障(短絡)

→ ダイオードが常時導通状態になり、正常なセルも迂回される。

→ パネルの一部の電圧が大幅に低下し、発電量が落ちる。


(2) 故障の主な症状

発電量の低下

• 1枚のパネルだけ異常に電圧が低くなる(例:通常30V → 15V)

• ストリング単位で電圧が低下し、パワコンの出力も落ちる


ホットスポットの発生

• 故障したセル部分が異常に高温になり、最悪の場合、セルが焼損する

• 赤外線サーモグラフィーで確認すると、特定のセルが過熱しているのが分かる


パワーコンディショナーのエラー表示

• 「ストリング電圧低下」や「発電異常」などのアラートが出る



3. バイパスダイオード故障の確認方法

(1) サーモグラフィーカメラで温度チェック

ホットスポットが発生している場合、故障したセル部分が極端に高温になります。サーモグラフィーカメラを使えば、異常発熱を確認できます。


(2) I-Vカーブトレーサーで電圧測定

パネルの電流-電圧特性(I-Vカーブ)を測定すると、正常時と異なる波形が確認できます。電圧が低下し、発電効率が落ちている場合はバイパスダイオード故障の可能性大です。


(3) テスターを使ったダイオードテスト

パネルの端子にテスターを当て、順方向と逆方向の電圧を測定することで、バイパスダイオードの動作を確認できます。



4. バイパスダイオード故障時の対応策

(1) 故障したバイパスダイオードの交換

• バイパスダイオードはパネルのジャンクションボックス内に設置されている

• 故障した場合、パネルの裏蓋を開けてダイオードを交換することで修理可能

• DIYでの交換は推奨されない(メーカー保証が切れる可能性があるため)


(2) パネル交換の検討

• パネルのメーカー保証期間内であれば、無償交換の対象になることがある

• 古いパネル(10年以上経過)の場合、新品に交換するのも選択肢


(3) 影の影響を最小限に抑える設計

• 影がかかりにくいレイアウトに変更する

• パワーオプティマイザやマイクロインバーターを導入し、影の影響を最小化



5. まとめ

バイパスダイオードの故障は、発電量の低下やホットスポットによるセルの焼損につながるため、早期発見・対応が重要です。


故障のサイン

:発電量の低下・パネルの異常発熱・パワコンのエラー

チェック方法

:サーモグラフィー・I-Vカーブ測定・テスターでのダイオードテスト

対策

:パネルの保証確認、影の影響を考慮した設計


定期的な点検と適切なメンテナンスを行い、太陽光発電システムの長寿命化を図りましょう!

太陽光発電設備について不安がある方は、お気軽にお問い合わせください!最適な点検・メンテナンス方法をご提案いたします。

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