太陽光発電の接地不具合を防ぐ!正しいアース施工と注意点
- 優 中野
- 3月12日
- 読了時間: 4分
更新日:4月16日
太陽光発電システムの接地(アース)は、安全性やシステムの安定稼働に欠かせません。しかし、施工ミスや誤解によって接地不良が発生すると、感電・火災・雷被害のリスクが高まります。本記事では、接地の基本から「やってはいけない施工ミス」まで詳しく解説します。
1. なぜ太陽光発電に接地が必要なのか?
太陽光発電システムに接地を施す理由は、大きく3つあります。
① 感電や漏電を防ぐ
太陽光発電設備は高電圧が扱われるため、絶縁劣化や施工不良があると漏電のリスクがあります。接地が適切であれば、漏れた電流を大地に逃がすことで感電事故を防げます。
② 雷の影響を軽減する
太陽光パネルや架台は屋外の高所に設置されるため、落雷の影響を受けやすいです。適切な接地がないと雷サージ(瞬間的な過電圧)による機器の破損が発生する恐れがあります。
③ 法令・規格への適合
電気設備技術基準では、太陽光発電システムに適切な接地を行うことが求められています。基準値(一般的に接地抵抗10Ω以下)を満たさない場合は、追加対策が必要です。
2. 接地の基本|アース線とアースプレートの役割
正しい接地施工には、適切な部材と確実な接続が必要です。
• アース線(接地線):漏電・雷電流を大地へ流すための導線。銅線が一般的。
• アースプレート:太陽光パネル同士を電気的に接続し、確実に接地を取るための金具。
• アース棒(接地棒):地面に打ち込む棒状の接地極。土壌条件によっては複数設置する。
• 接地端子・クランプ:アース線と接地極を確実に接続するための部材。
3. スクリュー杭は接地極にならない?その理由
「架台のスクリュー杭を接地極として利用できるのでは?」と思われることがありますが、スクリュー杭を接地極とするのはNGです。
スクリュー杭が接地極にならない理由
1. 接地抵抗が不安定
• スクリュー杭の材質や埋設状態によって接地抵抗が大きく変動する。
• 土壌の状態(乾燥・岩盤など)によっては十分な接地性能を発揮できない。
2. 腐食や接続不良のリスク
• 杭の表面はメッキ処理されており、時間が経つと腐食する可能性がある。
• 接地導線との接続部が確実でないと、長期的に接地性能が低下する。
3. 法令・規格に適合しない
• JIS規格や電気設備技術基準では、スクリュー杭を正式な接地極として認めていない。
スクリュー杭ではなく、専用の接地極(アース棒)を設置するべき。
4. 施工ミスに注意!「たまたま導通」はNG
接地不良を引き起こす主な施工ミス
① 金具取り付け時に傷がついてたまたま導通しているケース
• 架台や金具を取り付ける際に、金属表面のメッキが削れた部分が導通してしまうことがある。
• しかし、これは一時的なものであり、時間が経つと酸化・腐食で導通が失われるリスクが高い。
• 「たまたま導通している」状態ではなく、確実な接地線の接続を行うことが重要!
② 締め付け不良や接触不良
• アース線をクランプで固定するときに、しっかり締め付けられていないと導通が確保できない。
• 施工後の振動や風雨によって接触不良が発生することがある。
③ 接地抵抗の測定を怠る
• 接地工事後に接地抵抗を測定しないと、不具合を見逃す可能性がある。
• 施工後に必ず接地抵抗を測定し、10Ω以下であることを確認する。
5. 接地不良のリスクと対策
接地不良が発生すると、以下のようなリスクがあります。
• 感電の危険性が増す(特に湿気の多い環境では重大事故の可能性)
• 落雷時に機器が破損する(適切なアースがないと雷エネルギーを逃がせない)
• PCS(パワーコンディショナ)が誤作動を起こす(ノイズの影響を受けやすくなる)
接地不良を防ぐための対策
• 専用の接地極(アース棒・アースプレート)を正しく設置する
• アース線の接続部を確実に締め付け、導通を確認する
• 施工後に接地抵抗を測定し、基準値(10Ω以下)を満たしているか確認する
• 定期点検を行い、腐食や接触不良が発生していないかチェックする
6. まとめ
• スクリュー杭を接地極とするのはNG。専用の接地極を設置すること。
• 「たまたま導通」は信頼できない。金具の傷や接触不良による一時的な導通に頼らない。
• 施工後の接地抵抗測定を必ず実施し、定期点検を行う。
太陽光発電設備の安全性を確保するためには、適切な接地施工が欠かせません。確実なアース工事で、事故リスクを最小限に抑えましょう!
太陽光発電設備について不安がある方は、お気軽にお問い合わせください!最適な点検・メンテナンス方法をご提案いたします。
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