太陽光パネル点検の流れ・点検方法の種類・専門器具を徹底解説

太陽光パネルの点検方法を知って安心運用!点検の流れ・種類・専門器具について
企業が所有する太陽光発電設備は、長期的に安定した電力供給と収益を確保するために、その健全な状態を維持することが不可欠です。メンテナンスの義務化が進む中で、お客様の設備が常に最高のパフォーマンスを発揮できるよう、適切な点検の実施はより一層重要視されています。しかし、一口で点検といっても、その具体的な方法や流れ、使用される専門的な器具について、詳しくご存知の企業は多くはないかもしれません。
こちらでは、太陽光パネル点検の基本的な流れ、点検の主な種類とそれぞれのメリット、点検に使われる専門的な器具について解説いたします。
太陽光パネル点検の基本的な流れ:問い合わせから報告書受領まで
太陽光発電設備は、定期的な点検によってその性能を維持し、長期的な安定稼働を実現します。メンテナンス義務化の観点からも、点検のプロセスを正確に理解しておくことは事業者にとって非常に重要です。
こちらでは、専門業者に太陽光パネル点検を依頼してから、点検結果の報告書を受け取るまでの基本的な流れを、ステップごとに解説いたします。
1.専門業者への問い合わせとヒアリング

ウェブサイトや電話などで業者に連絡し、設備の状態、過去のトラブル、現在の課題、具体的な要望を詳細に伝えます。このヒアリングは、お客様のニーズに合わせた最適な点検プラン策定に不可欠です。
2.見積もり提示
ヒアリング内容にもとづき、具体的な点検項目、方法、期間、費用を提示しますので、見積もり内容に不明点があればこの段階で確認しましょう。
3.点検作業の実施
見積もり内容に合意し、契約が締結されたら、実際の点検作業が実施されます。安全管理を徹底し、適切な資格を持つ作業員が配置され、目視点検、電気的測定、ドローン点検など、さまざまな専門的な方法で設備全体を診断します。
4.点検結果の報告書作成・提出
点検作業が完了すると、業者は点検結果をまとめた報告書を作成し、お客様に提出します。報告書には、データや発見した異常箇所が詳細に記載され、設備の現状が客観的に把握できます。異常を発見した場合は、原因究明と具体的な改善策、今後の運用に関するアドバイスも提供します。
5.報告書受領後の確認と質疑
報告書を受け取ったら、必ず内容を確認し、不明点を解消してください。報告書は設備の「健康状態」を示すものです。記載内容を十分に理解し、専門用語や測定結果などわかりにくい部分があれば、遠慮なく業者に質問し、納得いくまで説明を求めることが、適切な意思決定につながります。
太陽光パネル点検前後の準備と確認ポイント
太陽光パネルの点検をより効果的に行うには、点検前後の準備や確認も欠かせません。まず点検前には、設備周囲の安全確認やパネル周りの障害物・雑草の除去を行うことで、作業員の安全と正確な点検を確保できます。
また、過去の点検報告書や発電データを事前にまとめておくと、異常の変化や経年劣化の比較に役立ちます。点検後には、報告書の内容をチェックし、提案された改善策や優先度を整理して社内で共有しましょう。
この一連の準備と確認作業を行うことで、太陽光パネル点検の効率が向上し、設備の健全性や発電効率を長期的に維持することが可能です。
太陽光パネル点検の種類一覧とそれぞれの方法のメリット
太陽光発電設備の適切なメンテナンスには、さまざまな点検方法が存在します。それぞれの点検には異なる目的とメリットがあり、お客様の設備状況やニーズに応じて最適な方法を選択することが重要です。
こちらでは、太陽光パネルの主な点検の種類とその具体的な方法、そしてそれぞれのメリットについて解説いたします。
日常点検と定期点検の役割

日常点検(簡易点検)
発電設備の設置者自身が、日常的または定期的に行う簡易的な目視確認です。これは、発電量監視システムの異常通知や、目視で確認できるパネルの汚れ、破損、異物の付着、雑草の繁茂といった初期的な異常を早期に発見することを目的とします。専門的な知識がなくても実施でき、日々の変化に気づく第一歩となります。
定期点検(専門点検)
電気主任技術者やO&M専門業者など、専門的な知識と技術を持つプロフェッショナルが行う詳細な点検です。設 備の健全性維持、発電効率の確保、事故の未然防止、そして法令遵守を目的として、定期的に実施されます。日常点検では発見できない内部の異常や電気的な問題を特定できる点が大きな特徴です。
主な専門点検方法とそれぞれのメリット
目視点検
パネル表面の破損、汚れ、架台の腐食や緩み、ケーブルの損傷、接続箱やパワーコンディショナーの外観、周囲の雑草・異物などを直接目で確認します。
初期的な物理的異常の発見に有効で、比較的低コストで実施できます。広範囲の設備にも適用可能です。
電気的測定
テスター、IVカーブトレーサー、絶縁抵抗計といった専門器具を使用し、パネルや回路の電流、電圧、抵抗値、出力特性などを詳細に測定します。
目視では発見できない内部の系統異常、セル(発電素子)の劣化、ホットスポットの予兆などを早期に発見できます。発電性能を数値として客観的に評価し、劣化状況を把握することが可能です。
赤外線サーモグラフィ点検
赤外線カメラを用いてパネル表面から放射される熱(赤外線)を検知し、温度分布を画像化します。これにより、異常発熱箇所(ホットスポット)や隠れた不具合、剥離などを非接触で特定します。
広範囲のパネルを短時間で診断できるため、効率的です。異常のあるパネルや箇所を迅速に特定し、精密点検の必要性を判断するのに役立ちます。
ドローン点検
ドローンに搭載された高解像度カメラ(可視光カメラ、赤外線カメラ)で太陽光パネル全体を上空から撮影し、その画像を専用の解析ソフトウェアで分析します。
高所作業の危険を伴わず、広大な敷地の設備も効率的かつ網羅的に点検可能です。詳細なデジタルデータを取得できるため、経年変化の比較や精密な異常特定につながり、作業員の安全性確保と点検時間の短縮、コスト効率の向上に貢献します。
その他(草刈り・清掃など)
パネル表面の汚れや、影の原因となる周囲の雑草の除去、パネルの清掃などを行います。
発電効率の回復に直接つながり、設備の熱負荷軽減や火災リスクの低減にも貢 献します。
太陽光パネルの点検に使われる専門器具とは?
太陽光発電設備のメンテナンスにおいては、肉眼では捉えきれない問題や数値として正確に把握すべき異常を特定するため、さまざまな専門器具が用いられます。
こちらでは、太陽光パネルの点検現場で活用される主な専門器具とその用途を解説いたします。
点検器具が果たす役割
専門器具は、点検作業を安全かつ精密に行い、隠れた異常を効率的に発見するために重要な役割を担います。肉眼では確認できない電気的な特性や、わずかな温度差を可視化することで、設備のパフォーマンス低下や事故につながるリスクを早期に特定します。
主な専門器具とその用途
IVカーブトレーサー
太陽光パネルやストリングの電流・電圧特性(IVカーブ)を測定し、断線、セル劣化、影、バイパスダイオード不良など、出力低下の原因を特定します。
絶縁抵抗計(メガー)
電気回路の絶縁状態を測定し、ケーブル損傷や水分の浸入による漏電リスク、感電事故の危険性を診断します。絶縁不良は火災原因にもなり得るため、保安上重要です。
クランプメーター/マルチメーター
電流、電圧、抵抗値などの基本的な電気特性を測定する汎用器具です。回路を切断せず測定できるため、稼働中の設備でも安全に確認が行えます。
赤外線サーモグラフィカメラ
パネル表面の温度分布を画像化し、異常発熱箇所(ホットスポット)や内部欠陥を非接触で発見します。広範囲を短時間で診断でき、不良パネル特定に有効です。
ドローン
高解像度の可視光・赤外線カメラを搭載し、上空から広範囲のパネルを撮影・診断します。高所作業の危険なく、効率的かつ網羅的な点検が可能で、詳細なデータ解析に活用されます。
接地抵抗計
アース(接地)の抵抗値を測定し、落雷や漏電時の感電防止・設備保護のための接地が適切かを確認します。
中野太陽光点検社は太陽光発電設備のO&Mに特化したプロフェッショナル
中野太陽光点検社は愛知県小牧市を拠点に、電気点検、ドローンを用いた効率的な診断、さらには草刈り作業まで、幅広いメンテナンスサービスを提供いたします。お客様の設備を安全に、そして効率よく稼働させるため、高度な技術と豊富な経験を活かし、迅速かつ丁寧に点検を行います。
太陽光発電設備のO&M専門業者をお探しの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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