太陽光発電が突然停止!通信不具合と“動物被害”が引き起こす意外なトラブルとその対策
- 優 中野
- 4月14日
- 読了時間: 4分
更新日:4月16日
近年、住宅用・産業用を問わず太陽光発電システムの導入が進む中、思わぬトラブルとして報告が増えているのが「通信不具合」と「動物による被害」。今回は、実際に起きた発電停止の原因を追跡し、突き止めた“意外な犯人”と、その対処・予防策を詳しく紹介します。
【事例】突然、発電量が「0」に。アプリもモニターも無反応
ある日の午後、いつもは順調に稼働していた発電モニターに異常が表示されました。数値は0kWh。スマートフォンの連携アプリにもデータは送られておらず、「通信エラー」「機器未接続」といった表示。
システム構成は以下の通り
パネル容量:6.0kW(屋根上設置)
パワーコンディショナ(PCS):屋外設置
発電モニター:室内設置(無線通信)
通信方式:Wi-Fi/LAN併用タイプ(メーカー独自通信プロトコル)
一見すると発電自体が止まっているようにも見えましたが、実際には太陽光パネルやパワコンには異常はなく、通信のみが遮断されていた状態でした。
【調査】原因は「通信断線」。しかしそれだけでは終わらなかった
システムを構成する機器の動作チェックから着手。
パネル:日射量・接続に異常なし
パワコン:ステータスランプは正常、発電動作を継続中
モニター:通信エラー表示
通信ルーター:動作正常、再起動済
LANケーブル:一部断線を確認
ここで初めて、屋外配線の被覆が破れていることを発見。ケーブルの中芯が露出し、一部は完全に切断されていました。さらにケーブル近辺には、小動物のフンや毛、足跡のような痕跡も…。調査の結果、配線をかじられたことによる物理的断線が主原因と判明しました。
【原因分析】動物の種類と侵入経路
動物被害の傾向としては、以下のようなケースが多く報告されています
動物 | 被害内容 | よく狙われる場所 |
ネズミ | 配線のかじり、巣作り | 屋根裏、配線周辺 |
ハクビシン | 屋根裏侵入、糞尿被害 | 軒下、通気口 |
カラス | ケーブル引き抜き、巣材として持ち去り | 屋外配線、露出端子 |
ヘビ・トカゲ類 | 機器内への侵入、短絡リスク | パワコン内部、接続箱 |
今回は、細かく鋭利な歯形跡、フンの形状、配線ルートの侵入痕から、ネズミ類の可能性が高いと判断されました。
特に、外壁に沿って露出していたLANケーブルの一部が、パワコンからモニターに向かう中継点で噛みちぎられており、パワコンからのデータ送信が完全に遮断された格好です。
【対処】応急処置から復旧作業へ
① 物理修復
被害部分のケーブルを切除し、新しいLANケーブルに交換。
接続端子は防水処理(熱収縮チューブ+自己融着テープ)を実施。
配線全体を金属スリーブで保護し、かじられにくい構造に変更。
② 通信再設定
モニター/PCSともに初期化・再ペアリング実施。
固定IPの再設定、メーカー指定の通信ポート開放確認。
通信ログの確認と正常化テスト(Ping応答、通信品質ログ取得)。
③ 全体動作確認
パワコン→モニター間のデータ正常受信を確認。
スマホアプリへの反映もOK。
発電量の履歴データにも異常がないことを確認。
【再発防止策】通信トラブル×動物被害を防ぐには
通信不具合は“内部的なネットワークエラー”のように見えて、物理的な原因も多く潜んでいます。以下のような対策を講じることで再発リスクを大幅に減らせます。
■ 物理的対策
ケーブル全体を「金属製配管」または「かじり防止チューブ」で保護
機器内部や配線口への「防獣ネット」やパテ封鎖
通信機器の周囲に「動物忌避剤(唐辛子系・超音波タイプなど)」を設置
■ ソフト面の対策
通信ログ・モニター表示の週次チェック(異常検知の習慣化)
ネットワーク異常の通知機能がある機器の選定
発電監視サービス(有償)を併用し、自動検知と通知を受ける仕組みの構築
■ 建物まわりの環境整備
雑草・落ち葉など、動物の隠れ場所になりそうな場所の清掃
軒下・通気口などの開口部の点検・塞ぎ
外構・壁沿いの配線は極力屋内経由に変更
【まとめ】
太陽光発電における通信不具合は、「設定ミス」や「機器トラブル」だけでなく、今回のように物理的な断線+動物被害という外的要因でも発生します。
とくに屋外配線部分の保護が不十分だと、ネズミやカラスのような“予期せぬ訪問者”によって、発電状況がモニタリングできないどころか、最悪の場合は漏電や火災リスクにつながることも。
トラブルを未然に防ぐには、定期点検と構造的な備えが鍵になります。もし通信系の不調を感じたら、設定だけでなく「物理的な損傷・動物の痕跡」にも目を向けてみてください。
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