top of page

太陽光発電が突然止まる?“漏れ電流”が原因かもしれません

  • 執筆者の写真: 優 中野
    優 中野
  • 4月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:5月8日

はじめに


太陽光発電は「設置すればあとは発電するだけ」と思っていませんか?実際には、経年劣化や天候の影響などにより、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。

その中でも見逃されやすく、発電停止や機器劣化につながるのが**漏れ電流(リーク電流)**です。この記事では、太陽光設備を所有するオーナーに向けて、漏れ電流の基礎知識とリスク、対応策について分かりやすく解説します。



漏れ電流とは?


電気は本来、決められたルート(配線)を通って流れます。しかし、機器の劣化や湿気、ケーブルの損傷などがあると、電気が本来の経路以外の場所に漏れてしまうことがあります。この現象が「漏れ電流(リーク電流)」です。

太陽光設備では、特に以下のような要因で漏れ電流が発生しやすくなります。


  • パネルやケーブルの経年劣化

  • 配線の施工不良や接触不良

  • 雨水の侵入、湿気、結露

  • モジュールのPID現象(電位差による劣化)



よくあるトラブル事例


雨天時にだけ発電が停止する

ケーブルの被覆が破れて地面に接触し、雨水によって電気が漏れてインバーター(パワコン)が安全停止するケース。乾燥すると復旧するため見落とされやすい。


発電量が少しずつ落ちている

長期間で見れば発電量が徐々に下がっているが、日々のモニタリングでは気づきにくい。PID劣化や微弱なリーク電流が原因となっていることがある。


モニターに「絶縁異常」や「絶縁低下」の表示が出る

パワコンが異常を検知して表示する。すぐに停止しない場合でも、内部で進行中のトラブルのサインである可能性が高い。



漏れ電流を放置するリスク

リスク内容

詳細

発電停止

インバーターが漏電を検知して自動停止。売電損失が発生。

機器の寿命短縮

パネルやケーブルへの負荷が蓄積し、機器の劣化を早める。

感電・火災のリスク

漏電箇所を人が触れると感電事故につながる可能性がある。

売電損失だけでなく、修理費や保険対応などの費用も発生する可能性があります。特に複数基を所有しているオーナーは、被害が拡大しやすいため注意が必要です。



オーナーができる主な対策


1. 定期点検で絶縁状態をチェックする

最低でも年に1回は、専門業者による絶縁抵抗・漏れ電流の測定を実施することが望ましい。点検記録を保存しておくことで、過去と現在の比較がしやすくなります。


2. モニタリングデータの変化に注意する

発電量の急な変化や、停止履歴がないかを定期的に確認すること。また、雨天後に異常が起きていないかを観察すると、漏電の兆候を早期に発見できる可能性があります。


3. 設備の目視点検も有効

ケーブルが地面に接触していないか、パネル周辺に水たまりができていないかなど、簡単な目視点検でも異常の予兆に気づくことができます。



点検・調査を依頼する際のチェックポイント

項目

チェック内容

絶縁抵抗測定

絶縁抵抗値が1MΩ以上あるか。測定箇所と値を明示してもらう。

漏れ電流測定(クランプ)

DC・AC両方に対応した計測器を使用しているか確認。

レポート提出

写真付きで異常箇所の説明があるか、改善提案が明確か。

信頼できる点検業者は、単に数値を測るだけでなく、結果の解説や今後のメンテナンス方針まで提案してくれることが多いです。



まとめ


漏れ電流は、太陽光発電の「見えにくい異常」のひとつですが、早期に発見すれば対処は十分に可能です。売電収入の安定化、設備の長寿命化、安全確保のためにも、定期的な点検と日々のデータ確認を意識しましょう。

最新記事

すべて表示
太陽光発電システムを守る!パワーコンディショナーの熱対策完全ガイド

はじめに:なぜパワコンの熱対策が重要なのか 太陽光発電システムの心臓部であるパワーコンディショナー(以下、パワコン)。このパワコンの性能が発電効率を大きく左右することをご存知でしょうか。特に夏場の高温時には、熱によるパワコンの出力制限や故障リスクが高まり、せっかくの太陽光発...

 
 
PCSが止まる原因はこれだ!太陽光発電における過電圧異常の原因と対策【直流・交流・整定値まで解説】

はじめに 太陽光発電所でよく発生するPCS(パワーコンディショナ)の「過電圧異常」。PCSが停止すると、当然ながら売電はできなくなり、大きな損失につながります。 この過電圧異常には、「直流側(DC)」と「交流側(AC)」の2つの原因があります。また、PCSにはあらかじめ過電圧を検出するための整定値が設定されており、これを超えると自動的に停止する仕組みになっています。 この記事では、過電圧異常が発生

 
 

中野太陽光点検社
 代表   中野優
 所在地  〒485-0084 愛知県小牧市入鹿出新田1066番地
 電話番号 090-1274-5798
 メール  s.nakano@pvtenkensya.com
 URL  
 https://www.pvtenkensya.com/

bottom of page